昨今、「墓じまい」なる言葉にて、お墓を整理するということが増えているようです。
 これまでの墓石についての問い合わせは、例えば、新しい石塔を造立したので、古い墓石をいかがしたらよいのかということが大多数でした。

 その場合は、まず発遣供養(魂ぬき、精ぬき)を行います。龍泉寺では、古い墓石をお寺の墓地内に並べて置いてありますので、その場所にご移動いただければよろしいのです。お墓を建て替えたり移動したりする時には、墓石を扱う業者さんにお願いするのが最も一般的で簡単な方法です。古い墓石や欠けた石などを引きとりしてくれる業者さんも多いので、業者さんにお願いしてみることもできるでしょう。
 ごくまれに、土に埋めたり畑の足台にしたりするケースが見られますが、いけません。戒名の刻まれた石を他の用に転ずることなどもせずに、きちんとお寺におさめるか業者さんに引き取ってもらうかしてください。
 
 さて、最近いうところの「墓じまい」とは、お祀りする子孫や一族がおらず、放置になる前に墓地を整理(更地にしたり、供養のかたちを変えて永代供養にするなど)するということのようです。

 その場合でも、きちんと発遣供養(魂ぬき、精ぬき)をおこなってから、墓地を更地にします。墓石、特に棹と呼ばれる中心になる石などをきれいに洗ってください。そして、墓じまいの石はできるだけお寺におさめていただきたいと思います。というのも、当龍泉寺でも、いわゆる「無縁の石塔」が増えてきておりますが、「無縁」とはいうものの、かつては縁があったからこそお墓があり、埋葬されたものです。決して誰とも「無縁」であるはずはないのです。
 様々な事情で「無縁」となってしまったお墓ですが、代々のご先祖様を供養してきたお寺と「無縁」であるはずがありません。お参りのみなさまの誰でもがお参りし手を合わせて頂ける、そんなご供養ができるようにと願っております。