9月20日、図書の寄贈をしていただきました。
著者は当地出身の酒匂鶴子さん。ご自分の実体験をもとに「BUNJI劇場」という本を出版なさいました。
もしこれを読んでくださった誰かの助けになることができたなら、という思いでわざわざお寺までお越しくださいました。この本を手にされた方からの反響や手ごたえもあり、講演会を開かれたりもなさっておられるそうです。

本書のテーマは「虐待」。児童虐待やDVといったことが社会問題になっている現代においてすら、時に見逃され見て見ぬふりをされてしまうことがあります。だからこそ、この本が誰かの救いになってほしい、そういう願いが込められている本です。

お寺の図書コーナーに常時おいてありますので、ぜひご一読ください。巻末に著者へのメールアドレス等が記載されておりますので、講演等の依頼もそちらからできるようです。

※厚生労働省による児童虐待の定義は以下の通りです

児童虐待は以下のように4種類に分類されます。

身体的虐待 殴る、蹴る、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的虐待 子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト 家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
心理的虐待 言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV) など

出典:厚生労働省ホームページ(児童虐待の定義

 

さて、実際に起きている虐待やDV、あるいはモラハラなどの様々なハラスメントは、言葉にされないだけ、あるいは当事者ですらそれが当然と思っていることで表面化しないということが多いそうです。DV夫、DV妻、あるいはモラハラ夫、モラハラ妻といわれても他人事。自分には理由がちゃんとあるから自分は違う、無関係。むしろ当然と思い込んでしまう。ですから何がそれにあたるのかきちんと知っておくことが大切です。例えば2CHのような電子掲示板には、こんな一覧が出回っています。

これらはすべてDVです。 覚えておきましょう

◆身体的暴力
・小突く
・殴る
・蹴る
・殴るふりをする
・包丁を突きつける
・ものを投げつける
・髪を引っ張り、引きずりまわす
・タバコの火を押し付ける
・首を絞める
・階段から突き落とす

◆精神的暴力
・何でも従えと言う
・発言権を与えない
・交友関係や電話の内容を細かく監視する
・外出を禁止する
・何を言っても無視する
・人前で侮辱する
・大事なものを捨てる、壊す
・罵詈雑言を浴びせる
・夜通し説教をして眠らせない

◆経済的暴力
・生活費を渡さない
・外で働くことを妨害する(金を稼いで来いという)
・洋服などを買わせない
・家庭の収入について何も教えない
・家計を厳しく管理する

◆性的暴力
・見たくないのにポルノビデオを見せる
・脅しや暴力的な性行為
・避妊に協力しない
・中絶の強要
・子どもができない事を一方的に非難する
・性行為の強要

◆子どもを巻き込んだ暴力
・子どもに暴力を見せる
・子どもを危険な目に遭わせる
・子どもを取り上げる(自分の味方に付けようと脅して洗脳する)
・自分の言いたいことを子どもに言わせる
・子どもに暴力をふるうと脅す

その他にも、ダブルスタンダードダブルバインドなどは精神的なハラスメントとなり得ますし、言葉の暴力自体が、侮辱罪や傷害罪といった犯罪になりうるのです。

理由はいくらでも後付けできるものです。人間ですから間違いもあるでしょうし、怒りもいらだちもあるでしょう。ですから、すべてを「DV」「ハラスメント」と一括りにしてしまうのも極端すぎるでしょう。

とはいえ、上記のいずれかでも「当然のように」「むしろ正しい」と思っているようなら、まさにDVやモラハラは「それを正しい、常識だと思っていること自体」に問題があるのです。

それがヒステリーだろうと嘘だろうと、自分を正当化して相手を貶めようとする。自分がヒステリーを起こすのも嘘をつくのも相手が悪いから、「あなたのせいだから私は悪くない」という具合に。「相手が悪いのだから私は謝らない。その必要はない」という思考ですが、保身もしくは自己愛であろうとは思われます。だからといって相手を貶めるというのは理解不能ですが。

自己愛のひとにとっては、事実よりも、「自分がどう感じたか」が重要だということのようです。ですので、客観的には「嘘」でも本人にとっては嘘ではないようなのです。例えば、「そんなバカなこと言わないで」といった日常会話での軽口でも「バカと言われた。バカと思われている。私の学歴をけなしているんだ。私の学歴が低いと言っているんだ」と感じる。感じたことがその人にとっての事実で、実際に何を言われたかは問題ではないのです。そうして「学歴が低いと言われた!だから仕事ができないと言われた!」と周囲にいいふらしますが、それは当人だけには「事実」なので「私は嘘を言っていない!」という思考をするのです。

その嘘によって、自分は被害者相手は悪い人と周りが思えば思うほど、自分の「嘘」を自分自身で「事実」と思い込んでしまうほど、自分の感情がなにより優先してしまう。その結果、それによって相手の人間関係や社会的な立場を破壊するなど、ものすごいハラスメントをしていることになります。

無自覚に自分は正しい、あるいは当然と思っているからこそ、ハラスメントはなくならないのです。
ですから、上記のような行為がDVやハラスメントにあたると知ることこそが我々の自覚につながっていくこと、更には「それは違うんじゃない?」といえる目を育てていくことはとても重要なことではないでしょうか。