何もみていません。お気になさらずに

寒い冬の間、それまで元気にしていた動物たちの姿を見る機会がかなり減るわけですが、彼らはいったいどうしているのだろうというのが毎冬ごとに気になっていたところであります。

多分、お寺の裏の林か、古い位牌堂の軒下や天井裏なのだろうと漠然と考えてはいるのです。ただ、どうも今年はやたらとその姿を見かけるので、うれしいと言えば嬉しいのでありますが、不思議なことでもあります。一体どこで寒さをしのぎ、何を食べているのか、と。

 

たとえば、セキレイが頻繁にきてはまたふらりとどこかへ行ってしまう。自動ドアに反応しなかったらしく、諦めて立ち去ったかのような足跡がありました。本堂の前で佇んではいつのまにかいなくなるサギもまた同じく、足跡だけを残して去っていく。もういたるところ足跡だらけ。

そんななか、最近顔をだすようになったキジに関しては、どこからくるのか想像すらついていませんでした。なので、ちょっとだけ後ろから見てみることにしました。焦ったり怖がったりというよりはここまでくれば大丈夫感を漂わせながら悠々と歩いているキジ。普段は、つがいの鳩と仲良くエサをついばんでいる姿がとてもかわいらしい。そんなキジが残していったのはやはり足跡。ああ、意外と足跡っぽくないのですね。どちらかというと一直線に線を引いた感じのものです。
この線のようなものは、最近身近でよく見かけるものです。さぁてどこだったかなと探すまでもなく、寺族さんが「ここに足跡があるよ!」と教えてくれました。お寺の玄関前の石灯籠。石灯籠の中から出入りする姿を見てしまったようです。まさか、こんなに近くに居を構えていたとはびっくりです。雨風はしのげるし、いいところを見つけたものです。ただ、わたくしどもに近いだけにストレスもあるでしょう。後をつけてこっそり写真を撮ったりして悪いことをしてしまいました。

わたくしどもは何もみていません。どうぞ安心してお過ごしくださいますように。